時雨・五月雨・村雨|情緒や文化に触れる 日本の雨 3選

日本の雨 アイキャッチ コラム

日本語には、他言語にはない独特の雨の名前があります。

雨の程度や特徴を表す「豪雨」や「小雨」「夕立」などは、私たちの日常ではとても身近なものです。

その一方、「時雨(しぐれ)」「五月雨(さみだれ)」「村雨(むらさめ)」について、特徴や背景までご存知の方は少ないのではないでしょうか。

聞いたことはあるけど、どんな雨なのかはわからない…

ビジネスで「五月雨式でいいので…」と言われて調べたことがある

「村雨」ってゲームに出てくる武器だよね!?


どんな雨にせよ、一般的に雨の日の外出は鬱陶しいものですよね。

しかし雨の名称と、名付けられた背景や意味を知ることができたら、雨の風景は今までと違って見えるかもしれません。                               実は「時雨」「五月雨」「村雨」には、天候としてだけでなく人々が築いてきた文化や心を表す日本人の感性が関わっていることをご存知でしょうか。

そこで本記事では、「時雨」「五月雨」「村雨」の特徴について解説します。

また、それぞれの雨が名付けられた理由や文化的背景についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

旅情や孤独を感じる「時雨」

時雨 旅情


「時雨」は朝・昼・晩を問わず降るという気まぐれな面があります。

そのため、移ろいやすい人の気持ちなどに例えられるなど文学や俳句、詩などで用いられてきた歴史があります。

時雨の特徴

「時雨」は、秋の終わりから冬の始まりにかけて降る雨のことで、途切れ途切れに降ったり止んだりを繰り返すのが特徴です。

その「一時降る」様子から名づけられ、寂しさや物思いといった感情と結びつけられてきました。

時雨の文化的背景

文学でも時雨は季語として多用され、芭蕉の「初しぐれ 猿も小蓑を ほしげ也」のように、旅情や孤独を描く場面で使われます。

変わりゆく空模様が、どこか人の心に似ている | そんな感覚が時雨の魅力です。

生活やビジネスでも身近な「五月雨」

五月雨イメージ①梅雨

「五月雨」は時雨と異なり、雨の降り方が明確です。

そのわかりやすい特徴から、現代の日常でも使われる場面があります。

五月雨の特徴

五月雨は途切れずに長く降るという特徴があります。

その名の通り5月に降る雨として名付けられた説があり、旧暦の5月は現代の6月くらいを指します。

6月といえば梅雨の時期ですので、五月雨の特徴は日本人であれば理解しやすいですね。

ビジネスシーンでも用いられることがある五月雨

五月雨 ビジネスシーン

「五月雨式でいいので、出来上がった分から提出してください」

「メールが五月雨式になって申し訳ありません」など、ビジネスで耳にすることもある五月雨。

途切れずに降る五月雨の特徴から、「断続的に物事が進む」比喩として、ビジネスシーンで使われています。

実は有名な「村雨」

村雨 雨上がり

古典に詳しい方や、RPGゲームが好きな方であれば、”村雨”と聞いてピンときた方も多いのではないでしょうか。

村雨の特徴

村雨は「ひとしきり さっと降って、すぐに止む」という点が特徴です。

むら(斑)」のように、不均一で不安定な様子から「村雨」と名づけられたとされています。

雨の降り方としては、前述した「時雨」や「にわか雨」と共通点が多く見られます。

しかし、村雨はごく短い時間で空模様が変わることから、別れを連想したり名残惜しさを感じたりする情緒的な意味が含まれています。

古典やゲームにも登場する「名刀・村雨」

村雨 刀としても有名

実は村雨は日本の古典などで、伝説の刀として登場する機会が多くあります。

物語によって名称は「村雨」だったり「村雨丸」など変わりますが、優れた刀として扱われる点に変わりはありません。

その特徴は「一瞬で決着がつく」「抜けば瞬時に敵が倒れる」といった、村雨らしいものです。

上記の理由から、近代のゲームの武器としても登場します。

まとめ

時雨、五月雨、村雨の特徴をまとめると下記のようになります。

天気を表す表現は様々ですが、日本の雨には気象状況を表すだけでなく、文化的または感性的な背景があります。

昔の人たちに習って雨を人の心情に例えてみたら、嫌な雨の日の外出も味わい深くなるかもしれません。

また、雨を注意深く観察することができれば、いつもの景色が違って見えるかもしれませんね。

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